公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
「オルドリッジ公爵、いいではありませんか。少女のような心をいつまでも忘れない方が、女は見た目も若く美しくいられるというものですぞ」
おかしな理屈をこねながらも、ペラム伯爵は取り出したハンカチで額の汗を拭っている。
この季節の夜の廊下は寒いほどなので、それはきっと冷や汗なのだろう。
娘のお転婆ぶりにジェイル様が嫌悪感を示せば、結婚話を先に進められないと危ぶんでいそうだ。
オズワルドさんだけは、いつもの真面目で堅物な表情を崩さずに一歩離れて控えているが、私とジェイル様はバレない程度にニヤリと笑い合う。
すべては順調。計画通りだ。
その後は「皆でディアナ嬢を探しましょう」とジェイル様が言い、彼とペラム伯爵、私とオズワルドさんのふた組に分かれて、屋敷の中を探すことになった。
ジェイル様たちは一階を南棟へと折れ、私たちは玄関ホールの奥にある階段を上る。
ふたりきりになるとオズワルドさんは、珍しく話しかけてきた。
「こういう企み事は、本来なら私の好むところではありません」