公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~

無邪気で幼い印象を与えるその顔が、悔しげに歪んでいる。

能天気な笑顔より、今の顔の方が大人びて見える。いや、年相応になったと言った方が適切かもしれない。

人を疑わずに天真爛漫なお嬢様を続けていては、痛い目に合うのよ。

その学びは今後の彼女の人生において、大切な教訓となることだろう。


人生観が変わるほどの大きな衝撃を受けた彼女は、それでも震える涙声で必死に弁明していた。


「私は騙されたのよ。この部屋にオルドリッジ公爵の、私に対するお心が隠されているとクレアに言われたのよ」


それに返事をするのは、私ではなくジェイル様。

彼は蔑むような目で彼女を見下ろし、低く冷たい声で言った。


「私の心を探していたのですか。それでしたら、今お見せしましょう。ディアナ嬢は私の妻に相応しい女性ではない。そう思っています」


恋する相手に嫌われて、彼女の涙の量は増す。

しかし、ワッと声を上げて泣き伏しても、同情を寄せる者は誰もいなかった。

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