公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~

足をバタつかせても、「こら、大人しくしろ」と笑われるだけで降ろしてくれず、とうとう彼の寝室まで連れていかれてしまった。


ディアナ嬢が散らかした部屋はすっかり片付いて、今は元通りの秩序と落ち着きがある清潔な空間が広がっている。

暖炉は薪が弾ける音がして暖かく、壁のスコンスふたつに小さな炎が揺れていた。

降ろされた場所はベッドの上で、私の靴を脱がせてシーツの中央に座らせ、その隣に彼も腰を下ろすと、したり顔して「どうだ?」と聞いてきた。


どうって……。

肩から降ろされても、鼓動は少しも静まらないことは説明できない。

麗しいその顔を見ないよう、視線を柱時計に向けて、彼の思惑に沿わない返事を口にする。


「別になんとも思わないわよ。喜びも優越感も湧かないわ」


なんとも思っていないわけではないが、嬉しがっていないことは事実。

心の揺れを悟られないようにしようと努力していて、早く話を切り上げてここを出なければと考えていた。

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