公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~

「その手には乗らないわよ」

「そう警戒するな。お前だって十八の娘だろう。他の令嬢たちのように、心をときめかせることは悪いことではない。壁を作るな。もっと気楽に笑え。俺の前だけではな」


私の頑なな心を溶かしてやろうと彼は優しげな声色で諭してきた。

それに対して私は、『そんなことはできない』と、心の中で反論する。

どうせ、その優しさも策略の内なのでしょう?

彼の思惑に気づいているので、警戒心を解くことはしなかった。


しかし、心を奪われてたまるかという気概も、香りの誘惑には勝てず、オイルをつけてやると言われた言葉は受け入れる。

靴を脱いだ彼は私の背後に回ると、両足の間に私を入れて抱きしめるような姿勢を取る。

私の胸の前でオイルを手の平に数滴垂らし、それを手の平に広げてから、私の首筋に塗り込んだ。

首から肩の中ほどまでをマッサージするように動く彼の両手は心地よい。

彼の手の熱がじんわりと染みて、香りとともに私の緊張を解きにかかった。


気を許しては危ないわ。

でも、なんて気持ちいいの……。

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