公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
「このまま朝まで、俺に抱かれて眠るか?」
琥珀色の瞳がまっすぐに私を見下ろしていた。
そこに、からかって楽しんでいる雰囲気はなく、色気も幾分抑えてくれているようだ。
そう聞くということは、私の意思を無視してこの先に進もうとは考えていないみたい。
問いかけられたことで、快楽の波に流されずに済んだ私は、これ以上心を揺らさないように気をつけて、静かな声で拒否を示した。
「抱かれる理由がないもの。自分の部屋に帰るわ」
思い通りに進まなかった展開に、小さな溜め息を漏らす彼。
「俺を落としてやると息巻いていたお前はどこにいったんだ?」
「状況が変わったのよ。もう色仕掛けの必要はないでしょう。取引したのだから」
私がジェイル様の婚約者たちを蹴散らすことができたら、彼はゴラスの政治に介入する。
それが契約だ。
シーツに散らした私のプラチナブロンドの髪に、彼は指先を絡めて「そうだな」と同意する。
しかし、分かってくれたとホッとする間もなく、すぐに流れを変えようとしてきた。
「 そういう契約だったな。だが、お前がゴラスに帰る気をなくせば、新たな契約を結べる。俺との婚姻という名の契約をな」