公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~

奇襲に慌てた辺境伯は、すぐに南の兵を北へ向かわせる。

そうすると南側は手薄となり、海からも攻め込まれてしまった。

たった一週間ほどで、たちまち領地の半分ほどを取られた辺境伯だったが、それを救ってくれたのは、領地の一部を隣にするアクベス家。

当時は侯爵ではなく伯爵の地位にあったアクベス家が加勢を宣言し、プリオールセンに兵を向かわせると、隣国はすぐに停戦を申し出てきたそうだ。

アクベス伯爵の兵がことさらに強いというわけでもなく、軍勢も二百にも満たない人数だったというのに、なぜ急に戦火が消えたのか……。


不思議なことはまだあった。

領主の首が取られるほどのダメージはまだ受けていなかったというのに、辺境伯は戦死し、一家の姿も領地から忽然と消えたというのだ。


辺境伯の戦死の詳細はなぜか明らかにされず、現在まで謎のまま。

一家が消えたのは、敗戦を悟り、命惜しさに逃げ出したからだろうと推測されたが、縁者や近隣の貴族を頼った形跡はなかったという。

おかしなことだ。

< 232 / 363 >

この作品をシェア

pagetop