公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~

すると彼は、意表を突かれたように僅かに片眉を吊り上げる。

平民に一番の関心を向ける私の気持ちは、生まれたときから有力貴族に属する彼には理解しにくいものなのだろう。

それでも質問には答えてくれる。

私の右胸に飽きたのか、今度は左胸を揉みながら。


「北側は分からないが、アクベス侯爵の管理下にある南側はひどい扱いは受けていないな。収穫物から得られる利益の税率を、いくらか上乗せされているようだが、元から豊かな土地だ。生活水準は落ちていないと思われる」

「それなら問題ないわ」


民が幸せなら、私の出る幕じゃない。

私が改革しなければならないのは、生きるのも難しいゴラスという貧しい町よ。

しかし「いや問題はある」とすぐに否定され、「俺の側にな」と付け足された言葉には、少々の自虐的な響きが感じられた。

彼は、その問題についても隠さずに話してくれる。


オルドリッジ家の領地は、国の南東の内陸部に位置しているそうだ。

海を持たないため、他国との貿易には使用料を払ってプリオールセンの港を利用しているらしい。

エリオローネ家が存在していた頃はなにも問題はなかったのに、アクベス家が管理するようになると使用料は倍額に。

加えて積荷量に応じて船の出入港に課税され、検疫まで一方的にされる始末。

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