公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
アクベス侯爵としては、彼の危惧する問題を利用して、娘を目上である公爵家に嫁がせ、さらなる権力と発言力を得たいのだろう。
もしかすると隣国の侵略以降、オルドリッジ家がアクベス家をよく思っていないことも理解の上かもしれない。
婚姻関係を結ばせ親類縁者となれば、妻の実家を気遣って、おいそれとは文句を言えぬ立場に置くことができるからだ。
「あなたも大変なのね」と少しの同情を示せば、彼は「だろう?」とニッと笑った。
「クレアが家を再興し、アクベス家から領地を取り戻す。あの地を治める正当な権利者なのだから、諸侯もこちらの味方につかざるを得ないだろう。そして後ろ盾のないお前を妻とした俺が、辺境伯領を管理する。時期を見て北側の領土も取り戻したい。戦になるだろうけどな」
とうとうと企みのすべてを暴露した彼は、「どうだ、理想的な解決方法だろ?」と、腹黒い笑みを口元にたたえて同意を求めてくる。
それに対し私は「あなたにとってはね」と冷めた返しをした。