公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
「クレア嬢、聞いておりますか? 実は私に恋文を送ってくる女性がーー」
「まぁ、それは素晴らしいですわ」
隣の彼の自慢話にはもううんざりしているので、わざと皆まで聞かずに感想を言うと、彼は脈なしと分かったのか口を噤んでくれた。
ジェイル様が隣にいてくれたら、こんな思いはしなくて済むのにと思いつつ、目線を長テーブルの奥に向ける。
彼が座るのは、向かいの列の国王に近い席。
左隣は王妃で、右隣はルイーザ嬢。
晩餐の席順は主宰者が決めているので、ルイーザ嬢がいずれジェイル様の妻となるのだろうと、国王夫妻は予想しているようだ。
ルイーザ嬢は胡桃色の艶やかな長い髪を下ろして宝石のついた髪飾りでサイドを留め、着ているドレスは今日も紫色だった。
しかし舞踏会のドレスとは違い、胸元の大きく開いたデザインで、色も濃い。
高価な紫色の染料をふんだんに使ったオートクチュールのドレスは、どれくらいの値段がするのだろう。
贅沢を極めたドレスを何枚も作れるほどの財力を持っているのだと、彼女は口に出さずに周囲に知らしめているように感じた。