公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
ディアナ嬢のときとは違い、今回の策略を企てたのは私ではなくジェイル様。
そして、その全貌を私も知らずにいる。
昨夜、執務室で今日のことを相談したときに、ジェイル様はこう言った。
『お前は自分の素性を漏らすだけでいい。あとは俺に任せておけ』
その指示に頷かなかったのは、まさか私まではめるつもりではないかと訝しんだから。
ジェイル様が私を利用して、辺境伯領を手に入れたがっている話は聞いた。
素性をバラせば、諸侯たちの間から私に領地を返すべきだという声があがるかもしれない。
彼はそれを狙っているのではないかと、怪しんだのだ。
しかしジェイル様は笑って『違う』と言った。
『心配するな。素性を漏らすのはルイーザ嬢にだけだ。ルイーザ嬢はアクベス侯爵にこっそりとそれを報告するだろうが、あの父娘はそれ以上に話を広めることは決してない。辺境伯領を手放さねばならない状況になれば、損をするのはアクベス家だからな』