公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
「ぜひ、拝見させてくださいませ。王妃殿下にお誘いいただけるとは、誠に光栄に存じますわ!」
他の有力貴族の婦人たちは、アクベス侯爵夫人に先を越されて慌てている様子。
皆は急いで花瓶の周囲に群がって、遅ればせながら口々に花を褒めそやし、自分も温室に招いてほしいという気持ちを、遠回しに王妃に伝えていた。
その集団の中にはルイーザ嬢も交ざっているが、彼女は母親がうまくやってくれたため、他の婦人たちのような焦りはないようだ。
胡桃色の大きな瞳を三日月形に細め、品よく微笑んでいるだけ。
『さすがはお母様ね。出だしは好調よ』という感想が聞こえてきそうな、得意げな顔をしているようにも見える。
一方私はというと、ひとりだけドア横の壁際に立ち、集団を遠巻きに眺めていた。
男性貴族のみならず、女性貴族にも権力争いというものがあるのね……と冷静に観察しながら。
すると王妃が横目でチラリと私を見て、一瞬だけ不愉快そうに顔をしかめる。
『なぜ褒めに来ないの? わたくしに招待されたいと思わないのかしら』と言いたげに。