公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~

膝の上にのせた両拳を握りしめ、俯いて閉口し、口撃を受け止め続けていた。

アクベス侯爵夫人の言葉で笑い声が一層大きくなり、晩餐室までも届いているのではないかと思うほどの賑やかさだ。

その嘲笑の中にはもちろん、ルイーザ嬢の声も含まれている。

彼女は母親の隣に座っていて、私とは三つ離れた席にいる。

この長椅子と彼女の座る長椅子は直角の位置関係にあるので、口元を片手で覆い隠しながら、紫色のドレスの肩を揺すって楽しんでいる表情を確かめることができた。

未婚を意識してか、彼女自身が私を下品に罵ることはしなかったけれど、同調して笑えば一緒。

見目麗しき彼女の黒く淀んだ部分を、私ははっきりと感じ取っていた。


チラリと彼女に向けた視線を下に戻し、さらに深く俯くようにして表情を隠す。

それは、ほくそ笑んでいるのを見られないようにするためだ。

ルイーザ嬢が黒くてよかった。

ジェイル様の策に彼女がはまって泣き出したとしても、同情しなくて済むもの。

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