公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
私の味方につくような言葉が聞こえてきても、少しもありがたくはない。
貴族女性という生き物は、呆れるほどに性根の醜い人たちね、と侮蔑の感情が湧くだけだ。
急に風向きが変わったことで、王妃はつまらなそうに口を閉ざし、アクベス侯爵夫人はさらに慌てていた。
それはルイーザ嬢も同じだ。
立ち上がったルイーザ嬢は私に駆け寄り、「クレアさん、お顔の色が悪いですわ」と急に心配そうにする。
その心配の仕方は、不自然。
私は顔を両手で覆っているのだから、顔色を知ることはできないというのに。
それから彼女は私の背中に手を当て、「一旦席を外して、落ち着かれた方がよろしいですわ」と、ドアへと歩みを促してきた。
「ええ」とか細く返事をした私は、彼女に従い、わざとふらつきながら歩き出す。
控えていたメイドが開けてくれたドアから廊下に一歩出ると、ルイーザ嬢は「それではクレアさん、お大事に」と言って、ドアを閉めようとする。
どうやら邪魔な私を追い出して、自分は室内に残るつもりのようだ。