公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
その手首をすかさず捕まえた私は、「付き添ってくださいますの? お優しいのね」と他の人にも聞こえるような声で言って、彼女を廊下に引っ張り出してからドアをバタンと強めに閉めた。
今はもう、顔を隠してはいない。
道連れのように退室させられたことと、私が泣いていなかったことの両方に驚いている様子の彼女は、二度、目を瞬かせてから、フンと鼻で笑った。
「クレアさんは予想以上に、したたかでいらっしゃるのね」
「お互い様じゃないかしら。ルイーザさんも相当に腹黒そうに見えましたけど」
藍色の絨毯敷きの広く長い廊下は無人ではなく、王城の使用人たちの姿が複数人確認できる。
私たちの近くにもドア横にメイドが待機していて、私と目が合った瞬間に気まずそうに下を向いた。
男性貴族のみが集う先ほどの晩餐室前にも執事がふたり控えていて、そのうちの年長者が足早に歩み寄ると、私たちに声をかけてきた。
「失礼いたします。お部屋をご用意いたしますので、どうかそちらでごゆっくりお話しくださいませ」