公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~

彼女は、辺境伯という称号を突然口にした私を怪訝そうに見て、話の続きを待っている。

クスリと笑って彼女の手首を離した私は、ドレスの胸元に手を入れると、そこから象牙の印璽を取り出して、彫り込まれた印章を彼女に見せた。


「これは……?」

「絡み合う蔦と盾と馬の紋章は、エリオローネ家を表すもの。私の本当の名はクレア・アマーリア・フォン・エリオローネ。子爵ではなく、辺境伯の娘よ」


ルイーザ嬢は衝撃のあまりに絶句して大きな目を見開き、足を一歩後ろに引いていた。

顔色まで青く変わったところを見ると、その衝撃とは、身分が低いと散々馬鹿にしていた私が、自分と同じ高い地位にいると知っただけではないはず。

彼女はきっと今、こう思っていることだろう。


『辺境伯令嬢が現れたなんて、公にされたら困るわ。かつて、お父様が苦心して手に入れたというプリオールセンの豊かな領地を、失うかもしれないじゃない……』


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