公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
しかしそんな彼の行いよりも、私は今、自分の心に戸惑っている。
この手が嫌だと感じないなんて、どういうことなの?
甘ったるい気持ちにさせられて、頬も耳も熱い。
それは、会食で慣れないワインを飲んだせいかしら。
きっとそうよ……。
甘さに流されてしまいそうな感情と戦いながら、自分の気持ちを逸らすために、アクベス父娘のことを質問した。
「それで、どうなったの? ルイーザ嬢からアクベス侯爵に、私の素性は伝わったんでしょう?」
「ああ」と返事をしても、彼の唇はうなじから離れる気はないようだ。
肌の感触が気に入ったのか、ゆっくりと首筋に唇を滑らせて楽しみながら説明する。
「あの父娘は廊下でコソコソと耳打ちし合っていたぞ。アクベス侯爵は血相を変えていたな。俺がわざと目の前を通ってやったら、すぐに本当なのかと確認してきた」