公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~

ジェイル様はまた腹黒い笑い方をして、私は胸に触れる温かな手とともに、首筋にかかる熱い吐息を心地よく受け止めていた。

氷漬けにしたはずの心が、ゆっくりと溶け出す気配を感じる。

けれども、うっとりしている自分に気づくと、すぐに心を冷やしにかかった。

負けじとゴラスの冬の風を心に吹雪かせ、春を蹴散らし、緊張を孕んだ声で相槌を打つ。


「そう。それでジェイル様は、本当だと言ったのね」

「いや。俺はこう答えたんだ。『もうじき分かることです。あなたも国王陛下も諸侯らも』」

「アクベス家以外には、話さない約束よね?」

「侯爵を焦らせるために言っただけだ。お前の秘密は広めない。安心しろ」


顔を歪ませる侯爵と、オロオロとするルイーザ嬢、そして、ふたりの前でニヤリと笑うジェイル様を想像しつつ、私はおもむろに立ち上がった。

なにかをしようと思ったわけではなく、胸とうなじへの攻撃に耐えるのが難しくなってきたからだ。

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