公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
広間は長い廊下の角をふたつ曲がった離れた場所にあり、私たちが近づくと重厚な両開きの扉が、執事ふたりの手によって開けられた。
中からは既に賑やかで楽しげな声が聞こえてくるが、私は気を引き締めて広間に足を踏み入れる。
ここはおそらく、城内の広間の中で中規模なのではないだろうか。
舞踏会が開けるほどの広さはないようだが、この人数だとちょうどいい。
絵画や彫像、美しい花々を生けた花瓶が壁際を飾り、美術館のようにも見える。
天井はドーム型でフレスコ画が描かれ、シャンデリアの眩しい光が天井にも反射していた。
私の趣味ではなく居心地は悪そうだが、さすが王城の広間は豪華だと感心して見回している。
横を向いたら、すぐ近くの壁際に、黒大理石の台座にのせられた水槽が目に止まった。
その中には見たことのない小さな淡水魚が数匹泳いでいる。
橙色と白の二色の魚で、胴が丸く膨らみ、尾びれはリボンのように豊かに広がる美しい魚だ。
これは多分、金魚と呼ばれる東洋の魚ではないだろうか。
今、貴族の間で珍しい金魚の飼育が流行っていると、知識としてジェイル様に教えられていたことを思い出していた。