公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~

私が辺境伯の娘だとアクベス侯爵が知ったことで、身の危険が生じると予想できる。

アクベス家にとって私は邪魔者だから。

しかし王城で、しかも皆の前でいきなりグサリと刺されることはあり得ない。

そんなことをすれば、罪人としてアクベス侯爵が捕らえられ、地位も領地もなにもかも失ってしまうかもしれない。


ジェイル様の指示に深く頷いた私は、広間から出なければ安全だと理解して、彼から離れて観劇中の婦人たちの方へと歩く。

玉突きもカードゲームも興味はない。

芝居も観たいとは思わないが、ただ座っていればいいので、それを選んだ。


舞台の前には二列に椅子が二十脚並べられ、私は空いていた後列の右端に腰を下ろす。

その位置だと、斜め前に座るルイーザ嬢の様子を観察できるからだ。

彼女も私と同様、芝居に興味を持って座っているわけではないようで、すぐに私に気づいて肩越しに振り向いた。


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