公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~

アクベス侯爵が座長の側を離れないまま二十分ほどが経過して、芝居は終わりへと向かっていた。

心変わりをしたアマーリアがブライアンを避けていたような流れだったが、実は泣く泣く彼から離れる決意をしていたのだ、という展開に入っていた。

舞踏会でアマーリアと再会したブライアンは、彼女を問い詰めてついに真実を聞き出す。

ブライアンは公爵家の嫡子で身分が高く、アマーリアは子爵令嬢。

ブライアンの母親が彼の知らないところで彼女に接触し、別れを強く求めていたという事情があったみたい。

アマーリアの苦しみを知ったブライアンは、舞踏会の場で母親を厳しく諭し、その後に皆が見守る中で彼女に結婚を申し込む。


「身分など気にする必要はない。私にはアマーリアが必要なのだ。我が妻となり、私に愛と安らぎを与えてほしい。心からあなただけを愛している!」


予想通りの展開ね、と冷静に思う私の横からは、啜り泣く声が聞こえてきた。

見ると、空席をふたつ挟んだ隣の椅子に、いつの間にかマリオット伯爵夫人が座っていて、レースのハンカチでしきりに目元を拭っていた。

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