公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~

身分違いの恋の成就に感動しているようだけど……応接室で私の身分の低さを嘲笑ったことは忘れているのだろうか?

よく見れば、観劇中の他の婦人たちも涙していたり、うっとりと見入っていたり、アマーリアに感情移入して結婚の申し込みに喜んでいるのが伝わってきた。

冷静に見ているのは、私とルイーザ嬢くらいだ。

なによそれ。応接室で子爵令嬢程度の私を見下し、集中口撃していた腹黒さは、どこへ行ったのよ……。


呆れるあまりにしばらく気を逸らしてしまい、それからまた視線を座長の隣に戻したら、アクベス侯爵はもうそこにはいなかった。

代わりになぜかたくさんのワイングラスをトレーにのせた執事がふたり、座長と言葉を交わしている。

アクベス侯爵を探して辺りを見回すと、いつの間にかカードゲームの輪の中に混ざっていた。


さも芝居に熱心な素振りを見せていたというのに、最後の演出の最中に今度はカードゲームなの?

なにを考えているのかしら……。

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