公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
また歩き出した後ろに歯ぎしりの音がして、今度は髪を鷲掴みにされ、うつ伏せに地面に押し倒された。
男は、呻く私の背に馬乗りになり、怒りのこもる低い声で侮辱する。
「調子に乗るな。顔がいいだけの下劣で卑しい女が。妻は見栄えのする女の方がいいと思ったが、やめだ。今までかけた金額分の報酬を、今ここで、体で払ってもらおうじゃないか」
ランプは地面に置かれていて、土に頬を擦りつける私の顔を半分照らしていた。
もがいても、私の細い体では大の男をどかすことができなくて、スカートを捲られて太ももを撫でられ、鳥肌が立った。
こんな男に純潔を散らされるくらいなら、いっそのこと、ここで舌を噛み切って死んでやろうかしら。
そうすれば、もう悲しむことも、激しい怒りに囚われることもない。
死んだほうが楽だわ……そう思って舌に歯をかけたそのとき、耳に聞こえてきたのはメアリーの声。
いや、耳に聞こえたのではなく、心の中に直接響いたのだ。
『クレアお姉ちゃん、諦めないで。私はもっと生きたかったのよ』と。