公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
ああ、メアリー……優しい子。
助けてあげられなかった私を、励ましてくれるなんて……。
孤児院の他の子供たちの顔も、花が咲くように次々と思い出されて、私に力を与えてくれる。
ゲルディバラの兵士なんかに負けたくない。
私はこの町を変えたい。
子供たちが幸せに暮らせるような町に……。
大人しくなっていた私に油断したのか、兵士は押さえつけるのをやめていて、両手を使って私の体を好き勝手にいじっていた。
力の限りを振り絞り、勢いよく体を捻って男を振り落とすと、寝静まっている住民の助けを期待して、特大の悲鳴をあげた。
すぐに口を塞がれ、再び背にのられてしまったが、その抵抗は無駄ではなかった。
闇の中に走り寄る数人の足音が聞こえて、地面に伏せる私の視界には黒い革のブーツ、三人分が映る。
「何者だ!」と先に問いかけたのは、私の上にのる兵士。
「夜間の外出禁止令をーー」と、叱りつけようとしている最中に殴られたような鈍い音がして、私の上から重みが消えた。
急いで起き上がった私は、民家の壁に身を寄せる。
助けてくれたのは、誰……?