公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
気味の悪さを感じつつグラスを受け取り、僅かに後ずさる。
ふたりの執事は狭い隙間を縫って舞台上の全員にグラスを配り終えると、舞台を降りていった。
「精悍なるブライアン殿と麗しきアマーリア嬢、おふたりのご婚約をここに祝し、杯を上げましょう!」
後ろの方にいる役者の男性がよく通る声を張り上げると、「乾杯!」という多くの声が重なった。
赤ワインを飲んでオホホと笑い合う婦人たちは、芝居に参加することができて満足げな様子。
ルイーザ嬢も口に当てたグラスを傾け、私に横顔を見せつけるようにしてゴクゴクと美味しそうにワインを飲んでいた。
私はまだ会食のはち切れそうな満腹感が持続しており、本当は飲み物も欲しくない気分でいる。
しかし、ここで飲まねばまた『舞台が白ける』と指摘されそうで、それに加えて、飲食物を残すことのできない性分から、仕方なく私もグラスに唇をつけた。
そのとき……。