公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
ジェイル様は、私とルイーザ嬢が彼を巡って争ったために、舞台を壊したことにしたいらしい。
毒が入れられ、命を狙われていたことは、公にするつもりはないようだ。
それはまるで、アクベス侯爵を庇っているようにも聞こえるが、そうではないのだろう。
彼はきっと、この件と引き換えに、アクベス侯爵と交渉しようと企んでいる。
ルイーザ嬢を花嫁候補者から外すという交渉を。
侯爵なら、たとえこの場で糾弾されたとしても、誰かに罪をなすりつけそうな気はするが、それでも疑われて取り調べられては、侯爵家の名に傷がつく。
貴族間の力関係が変わってしまうほどの、痛手を被る結果となるやもしれない。
それよりは、娘の嫁ぎ先の階級を下げる方が利となる話だ。
弱みを握られている以上、アクベス侯爵はなんの条件もなく頷くしかないだろう。
そういうことだったのね、とやっと今回の企みの全貌を理解した私は、ジェイル様の隣で頭を下げた。
「国王陛下、王妃殿下、ご迷惑をおかけしました。皆様も、お楽しみのところをお騒がせして、大変申し訳ございません」
私が謝罪したことで、ルイーザ嬢も謝らないわけにいかなくなる。
私に続いて似たような謝罪の言葉を口にして、頭を下げた彼女の横顔は、悔しそうにしかめられていた。