公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
三人の男たちはランプを手にしておらず、兵士のランプだけが地面から男たちを照らしていて、顔まで光が届かない。
彼らの身につけている服もマントも素朴なものだが、ゴラスの庶民が着ている服とは形が少々異なっていた。
旅の人?
今夜、この町の安宿はどこも営業していないし、もしや宿を求めて夜道を訪ね歩いていたのだろうか……。
殴り飛ばされた兵士は立ち上がり、剣を抜いている。
ランプの光を反射する刃に、私はヒヤリとしたが、旅人風の男のふたりは怯まずに前に進み出て、残りのひとりは彼らの後ろで腕組みをし、余裕の構えだ。
「巡回の兵を殴るとは、いい度胸だな。俺には凶悪犯をその場で斬り捨てる権限が与えられている。覚悟はいいか?」
兵士の恐ろしい問いかけに答えたのは、腕組みをしている男だった。
フンと鼻を鳴らしてから、どこか馬鹿にしたような声色で言葉を返す。
「ゴラスの兵は、巡回中に女を襲う権限も与えられているのか? 呆れるな。これも報告書に記載しておくか」