公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~

それから二時間ほどが経過して、宮中晩餐会の最後は和やかな雰囲気で終了した。

私とジェイル様は今、馬車に乗って帰宅したところで、後ろでは私たちが降りた後の馬車馬を誘導する御者の声が聞こえている。

玄関扉に近づくと、内側から開いて、留守番をしていたオズワルドさんがホッとした様子で出迎えてくれた。


「お帰りなさいませ、ジェイル様。随分とお疲れのご様子ですね」


オズワルドさんは、屋敷に足を踏み入れた彼が浮かない顔をしていることにすぐに気づき、心配そうにする。

私も泣いたこともあって化粧は剥げ、疲労の濃い顔色をしていると思うが、オズワルドさんは私には無関心だ。

しかし、それが主人のみに忠実ないつもの彼の態度であるため、特に不満に思うことはない。


「ことがうまく運ばなかったのでしょうか?」


ジェイル様の疲労の原因は、作戦の失敗なのではないかと危ぶむオズワルドさんだったが、ジェイル様は脱いだマントを彼に手渡しながら「いや」と否定した。

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