公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
「目的は果たした。アクベス侯爵には、ルイーザ嬢の嫁ぎ先を他家で考えると約束させた」
応接室を借りてアクベス家の三人と二時間近く話し合い、出た結論はこうだ。
今回の毒殺未遂の件を他言しない代わりに、ルイーザ嬢を花嫁候補者から外す。
それによってオルドリッジ家の領地に流れ込む川の水を上流で堰き止めたり、プリオールセンの貿易港の使用料を値上げするなどの、報復措置は行わない。
これまでと同様の関係を保つことを承諾させた。
契約書を作成し、それにサインをさせてから、ジェイル様はこうも話した。
『そういえば、なにかを勘違いされているようですが、クレアは辺境伯の血筋ではありません』
それは、私を守るための嘘だった。
辺境伯の娘を名乗り続けていれば、また命を狙われることになるだろうから。
驚いたルイーザ嬢に『あの印璽は!?』と問いかけられたが、『適当に作った偽物よ』と私が答えた。
『ごめんなさいね。子爵程度と、皆さんがあんまり馬鹿にするものだから、悔しくてつい……』