公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
「要望書には、食料品と生活必需品の消費税の引き下げや、医療の無課税が明記されている。それとーー」
農作物の取り分は、四公六民を上限とし、不作の年には農民の取り分を多くすること。
庶民の生活の保護を優先し、軍備縮小に励むこと。それから、孤児院への助成。
私の望むすべてを要望書に書き込んだと、ジェイル様は教えてくれた。
彼は琥珀色の瞳を細めて優しく微笑み、感激の中にいる私の頭をゆっくりと撫で続ける。
「約束事の履行と維持を確認するために、半年に一度の視察を受け入れることも要望に含まれている。他になにか望みはあるか? 不足があるなら言ってくれ」
「いいえ、充分よ。これでゴラスの民は救われるわ。本当にありがとう……」
胸に熱いものが込み上げてくる。
ゴラスの貧しい民は、やっとまともな暮らしができることだろう。
孤児院の子供たちは空腹から解放され、小さな手を豆だらけにして畑を耕す必要もなくなる。
病気になれば、当たり前のように医者にかかって薬を飲むことができるようになる。
そんな素晴らしい生活がこれから始まるのだと思うと、嬉しくて、ありがたくて、涙が溢れてきた。
頭を撫でてくれていた彼の手は、滑り降りるように私の頬に移動して、伝う涙を拭ってくれる。