公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~

リッキーはこの春で十二歳になる。

孤児院を出て、生きていく術を自分で探さねばならないが、住み込みの働き口は少なくて見つけるのに苦労する。

私も一緒に探してあげなくては……。


十一歳のドナは、リッキーが孤児院を出たら一番の年長となり、下の子供たちをまとめる立場になる。

しっかり者のドナなら大丈夫だと思うけど、どんなに大人びていても、まだたったの十一歳だ。

笑顔の裏にはきっと不安が隠されているはずで、私が相談役になってあげないと……。


そうやって、一人ひとりの顔を思い出し、最後に棺の中のメアリーの顔が浮かんできた。

助けてあげられなかった、八歳の幼き命。

悲しみや怒りや無力感に襲われ、そんなやり切れない思いを使命感に変えて、私はゴラスを旅立ったのだ。

それを忘れてはいけない。

ゲルディバラ伯爵が議会の要望書通りに改革に着手するのかを見張らないと。

庶民の生活が変わっていく様を、この目で確かめたい。

私はゴラスに帰るのよ……。


< 308 / 363 >

この作品をシェア

pagetop