公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~

ドナは赤茶の肩までの髪をした十一歳の少女。

リッキーの次に年長の子供で、しっかりした性格をしている。

皆に頼られるお姉さん的存在なので、きっと子供らしい泣き言を言えずに思い悩むこともあるのではないかと、私は彼女を心配していた。


後ろから声をかけると、ドナは振り向いて立ち上がり、私のために場所を開けてくれた。


「ドナはメアリーと話していたのでしょう? 私は後で話すからいいわ。なにか悩み事の相談でもしていたの?」


優しい言葉で彼女の悩みを引き出そうとする。

しかし、ドナはなんの憂いもない眼差しで私を見上げ、にっこりと明るく笑って否定した。


「ここで祈るのは日課よ。メアリーに心配しないでって、いつも声をかけるの。今はとても幸せだから、悩み事なんてひとつもないわ」

「そう……」


ドナの瞳を直視できずに目を逸らし、奥の方にある母の墓を見た。

お母様、私はここに毎日通う必要はないみたいよ。

もう、必要とされていないのね……。


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