公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~

昼間は農地を視察して、貧しい農民たちの窮状を知ったことだろう。

夜はこうして、メインストリートから外れた庶民の生活路を歩いてくれている。

彼を、この町に変化をもたらす救世主とみなしてもいいのだろうか……?


愚かな期待をする私に、冷たい視線と低い声が降り注ぐ。


「なぜ欲しくもない土地の民を救わねばならん。視察は国王に命じられた職務。俺はそれを遂行するだけだ」


他の領地の政治には不干渉。

ゲルディバラ伯爵とぶつかってまで、慈善事業をする気は一切ないと言いたげな、冷たい目をしていた。


やはり貴族とは、こんな人ばかりなのね。

庶民の暮らしなど、どうでもいいと思っているのだろう。

窮状を知った国王だって、ゲルディバラ伯爵への印象を悪くしても、きっとなにもしてくれない。

ドリスが言っていた『国王の威厳を諸侯に示すための視察』というのが正解だ。


< 33 / 363 >

この作品をシェア

pagetop