公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
足元に転がったじゃがいもは、ドリスが拾って手渡してくれた。
それをたちまち剥き終えて、別のいもに手を伸ばし、ものすごい速さで次々と剥きあげていく。
「急に張り切って、どうしたんだい?」と不思議そうに問いかけるドリスに、私はにやけそうになるのを堪えて、「別に張り切ってないわよ」とごまかした。
でも、心の中には期待が膨らんで抑えきれない。
ジェイル様に会いたい気持ちが、大きく強く、この胸を高鳴らせていた。
それから三日があっという間に経ち、ついに視察の日を迎えた。
前回の視察では、ゲルディバラ伯爵が荒んだ町の有様を隠そうとして、メインストリート沿いの高級店以外は営業中止にさせられた。
しかし今回は、そのような御触れはなく、町に見張りの兵もうろついていない。
視察団には、ありのままのゴラスを見せる約束をさせられているからだろう。
それはいいことではあるが、そのせいで私は今日も宿屋の仕事に追われている。
ソワソワと落ち着かない気持ちを抱え、洗濯物を裏庭のロープに干していた。