公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
先ほど、近くの雑貨屋に買い物に出ていた宿泊客が、『視察団が到着したようだよ』と教えてくれた。
早く仕事を終わらせて、視察団を見にいきたい。
ジェイル様に会いたいわ……。
大量のシーツや枕カバーを庭いっぱいに干し終えて、ドリスを探す。
ドリスは玄関を入った先のカウンターにいて、宿泊客の対応をしていた。
忙しそうな彼女に「ごめんなさい。少しだけ出かけてくるわ」と声をかける。
「どこ行くんだい?」と聞き返され、「視察団を見にいくの」とだけ早口で答える。
行ってもいいとの返事も待てずに、私は宿を飛び出した。
どの辺りにいるのかしら……。
視察団を探して、町のあちこちを走り回り、やっと教会の前で一行の馬車を見つける。
そこには人垣ができていて、停車中の馬車の屋根と馬のたてがみしか見ることができないが、野次馬たちの会話を聞くに、どうやら視察団は教会の中で神父と話をしている最中のようだ。