公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
今日も大量のじゃがいもを、職人技で次々と剥いていくドリス。
その顔は不愉快そうに、しかめられていた。
昨日からドリスはなぜか機嫌が悪い。
いつもの彼女は豪快で明るく頼もしい人。
私がミスをすれば叱るときもあったけれど、決して後に引きずらない性格をしている。
そんなドリスがなぜか、入ってきた私をジロリと睨み、それからすぐに手元に視線を戻す。
今朝は『おはよう』と挨拶しても、返事をしてくれなかった。
私はそんなにもドリスを不機嫌にさせることをしただろうか?
考えても思い当たらず、作り笑顔を浮かべて彼女の側に寄った。
「私もやるわ」と言って、作業台の上のじゃがいもに手を伸ばす。
するとその手を叩かれた。
「ドリス?」
「あんたはやらなくていい。これはあたしの仕事だよ」
「で、でも……」
確かに役割分担としてはそうなっているけれど、私たちはこれまで、お互いに手伝い合ってやってきた。
どうして今日はそんなことを言うの?