公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~

その言葉に強い衝撃を受ける。

十二歳から七年ほどもふたりでやってきたというのに、新しく人を雇いたいからと、私を簡単に放り出す気のようだ。

ドリスにとって私は、その程度の存在だったのかと、目を見開く。

にわかには信じられずに、慌ててドリスの背中に問いかけた。


「冗談よね? ここを追い出されたら、私はどこにいけばいいのよ」

「どこでも好きなところにいっとくれ。クレアの部屋はドナが使うんだから、なるべく早く出ていきな」


冷たく吐き捨てるようにそう言ったドリスは、皮剥きを中断してエプロンで手を拭くと、私を避けるように裏口から出ていってしまう。

荒っぽく閉められた板戸を見て、私は呆然と立ち尽くしていた。


ドリスに嫌われてしまった。

なにがどうして、こうなったの?

頭が混乱して、なにも考えられないわ………。


ただただ、崖から突き落とされたような大きな衝撃を受けて、青ざめていたら、リッキーが我慢できないといった様子で口を開いた。


「クレアは、本当は貴族なんでしょ? 昨日ドリスが孤児院に来て、言ったんだ。クレアの幸せは王都にあるから、背中を押して送り出してやらないとって」

「え……!?」


< 342 / 363 >

この作品をシェア

pagetop