公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
その言葉に強い衝撃を受ける。
十二歳から七年ほどもふたりでやってきたというのに、新しく人を雇いたいからと、私を簡単に放り出す気のようだ。
ドリスにとって私は、その程度の存在だったのかと、目を見開く。
にわかには信じられずに、慌ててドリスの背中に問いかけた。
「冗談よね? ここを追い出されたら、私はどこにいけばいいのよ」
「どこでも好きなところにいっとくれ。クレアの部屋はドナが使うんだから、なるべく早く出ていきな」
冷たく吐き捨てるようにそう言ったドリスは、皮剥きを中断してエプロンで手を拭くと、私を避けるように裏口から出ていってしまう。
荒っぽく閉められた板戸を見て、私は呆然と立ち尽くしていた。
ドリスに嫌われてしまった。
なにがどうして、こうなったの?
頭が混乱して、なにも考えられないわ………。
ただただ、崖から突き落とされたような大きな衝撃を受けて、青ざめていたら、リッキーが我慢できないといった様子で口を開いた。
「クレアは、本当は貴族なんでしょ? 昨日ドリスが孤児院に来て、言ったんだ。クレアの幸せは王都にあるから、背中を押して送り出してやらないとって」
「え……!?」