公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~

リッキーは困り顔で私を見ながら、ドリスの態度が急に冷たくなった理由を教えてくれた。

ドリスは私をジェイル様の元に返そうとして、追い出すような演技をしているみたい。

それを知って、心に動揺の波が広がる。


きっとドリスに見られてしまったんだ。

一昨日の夜、ジェイル様の名を呼びながら、うずくまるようにして泣いていた姿を。

私は知らず知らずのうちにドリスを悩ませ、苦しませてしまったのだ。


隠し通すことができずに打ち明けてしまったリッキーを、ドナは呆れたような目で見て、叱りつける。


「もう、駄目じゃない。そんなこと言ったら、クレアが出ていきにくくなるでしょ? 男の癖に口が軽いわね」

「だってよ……」


口を尖らせて反論しようとしたリッキーだけど、結局は「ごめん」とドナに謝っていた。

リッキーが口でドナに勝てないのは、いつものことだ。

ふたりのやり取りは微笑ましいものだけど、心を温めている場合ではなく、私はドリスを追って急いで通用口の戸を押し開けて、外に飛び出した。

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