公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
投げつけられた毛布を受け止めた私は、目を見開いてドリスを見つめる。
『本当は怖くて戻れないんだろ?』という言葉が、心に突き刺さっていた。
そうかもしれない。
色々と理屈をこねても、結局はそれが一番大きな理由なのではないか。
ジェイル様の側にいたいと言い出しても、時既に遅し。
彼は心変わりをしているかもしれないし、不要品だと冷たい目を向けられることを恐れているのだ。
図星を指されて目を泳がせた私に、ドリスが声を優しくして諭す。
「クレア、人生は一度きりさ。好きな男のために生きて、なにが悪いんだい。あんたは、あたしたちのために命懸けで戦ってくれた。もう充分だから、頼むから自分のために生きておくれ。クレアには誰より、幸せになってもらいたいんだよ」
母のように思い遣るその言葉は、私の奥底まで染み渡り、大きく心を動かした。
重心が傾いて、愛しい彼の方へと、心が滑り落ちていくようだ。
それでもまだ、自分の幸せのために生きるという選択に迷うのは、これまでそのような生き方をしてこなかったせいなのか。
すると、後ろにリッキーの声がする。