公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~

「クレア、俺たちはもう大丈夫だから、心配すんなよ。孤児院の弟妹たちの面倒も俺がちゃんとみるからさ。クレアがこれまでやってくれたように」


ドナの声もする。

「みんなクレアの幸せを願っているわ。クレアが我慢してゴラスで暮らせば、それを見ている私たちも辛いのよ」


手枷が外されたような心持ちで、膝を折り、自由になった両手を地面についた。

せっかく洗った毛布も土の上に落としてしまい、そこからフワリとバラの香りが漂った。


これは私の毛布。

こぼれたバラの香水をこれで拭いてしまったから、洗って干したのに、まだ香る。

愛しいジェイル様の香りが……。


「本当にいいの……? この愛のために生きても」


毛布を抱きしめて、震える涙声で尋ねると、目の前に立つドリスが胸を叩いて笑った。


「もちろんさ。クレア、行っておいで。後悔しないように、思いっきりぶつかってくるんだよ」

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