公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
私の前に回り込み、ドリスを挟むようにして立ったリッキーとドナ。
ふたりは大人のような頼もしい顔つきをして、私に勇気を与えてくれた。
「俺、愛とかよく分かんないけど、クレアが元気になるなら、その方が絶対にいいよ」
「素敵よ、クレア。私もいつか、そんな恋がしてみたいわ!」
頬を伝う涙を毛布で拭い、私は足に力を取り戻して立ち上がった。
三人の顔を順に見て、心からの笑顔を浮かべて宣言する。
「明日、ゴラスを発つわ。ジェイル様の元に帰ります。別れて半年も経つし、いらないと言われて足蹴にされるかもしれないけれど……そうしたら、その足にかじりついてでも離さないわ!」
意気込みを伝えたかっただけなのだが、言い方がおかしかったのか、三人が空を仰いで大きな声で笑いだした。
鰯雲が泳ぐ秋晴れの空。
この空のように、私の心も久しぶりに晴れ渡り、気持ちのよい風が吹いていた。