公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
◇◇◇
簡単な旅支度をしてゴラスを発ってから、六日が過ぎていた。
遠く長い道のりを馬車に乗る金などなく、歩いて王都を目指し、四夜を木陰で眠った。
今日はいよいよ王都につくからと、昨夜だけは宿屋に泊まって身を清めたが、綺麗な姿でジェイル様に会うことはできそうにない。
夕方から降り出した雨は、フード付きの茶色マントを通り越して、中に着ている水色の簡素なワンピースまでをずぶ濡れにしていた。
ブーツは靴底が今にも抜けそうで、ボロボロの浮浪者のよう。
秋はまだ始まったばかりとはいえ、夜の雨に打たれては、体温がどんどん奪われて、凍えそうに寒かった。
それでも心だけは熱く燃えたぎり、もうすぐ彼に会えると思うと自然と早足になる。
王都の街の中は、家々の窓辺に明かりが灯り、それが石畳の道に反射して、足元を明るく感じさせてくれていた。