公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
まっすぐにその瞳を見上げ、「愚か者だからよ」と私は答える。
「愛のために生きたいと思うほどに、今の私は愚かなの。ジェイル様、どうか私を利用して。辺境伯領を手に入れるために、私をあなたの妻にしてください」
素性を公にしてエリオローネ家を再興し、領地を取り戻すつもりなど、これっぽっちもなかったはずなのに、今はそれをやっても構わないと思っていた。
ジェイル様の側にいられるのなら、なんでもする。
彼が私に望むすべてのことをしてあげたい、と。
そのような愚かな考え方をするように変わったのは、彼への深い愛情ゆえのことだ。
私がこう言えば、きっとジェイル様は驚くことだろう。
そう考えていたのだが、彼の反応は予想と違うものだった。
フッと笑った後に、口の端がニヤリと吊り上がる。
「やっと言ったな」
「え……?」
それはどういう意味だろう。
まるで私が、利用されてもいいから妻になりたいと言い出すのを待っていたかのように聞こえる。