公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~

私のためを思い、ゴラスに帰れと言ってくれた彼なのに、なぜそんなことを言うの?

その腹黒い胸の内を測りかねて、眉を寄せる私に、ジェイル様は「まぁいい。とにかく入れ」と、ごまかすかのように腰に手を添えて、屋敷内へと誘導する。

それで疑問についての思考は、一時中断となる。


玄関扉を大きく開いて待ち構えていたのは、オズワルドさん。

彼は汚い身なりの私を見て呆れたような顔をしているが、「クレアさん、お帰りなさい」という言葉からは、戻ってきたことへの非難の気持ちはない様子。

その代わりに、別の文句を言われた。


「まさか、ゴラスから歩いてきたのですか?」

「そうです。馬車に乗るお金がないもの。六日かかりました」

「ジェイル様が金貨を持たせたでしょう。二十枚もあれば、護衛まで雇えるほどの贅沢な旅ができるはずですが」

「全額寄付しました。孤児院に。ありがとうございました」


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