公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
呆れを通り越したのか、オズワルドさんは吹き出して笑った。
融通の利かない堅物の近侍の笑い声を聞くのは初めてのことで、私は目を瞬かせる。
ジェイル様も笑っていて、「クレアらしい金の使い道だな」と肯定してくれてから、オズワルドさんに私を預けた。
「体が冷え切っている。湯を浴びて温まってこい。食事も用意させる。深い話はそれからだ」
それから一時間半ほどが経った。
沐浴をして温まり清められた体には、私のために用意されていたかのような、リボンとレースで飾られた新しい寝間着と、羽根のように軽く柔らかなベージュのナイトガウンを羽織っている。
その姿で私は、ジェイル様の寝室に呼ばれていた。
振り子の柱時計は、二十二時を差している。
暖炉には火が入り、暑いほどに部屋は温められ、白い寝間着姿の彼はベッドの端に腰掛けていた。
ドア前で足を止めている私を、彼は「来い」と尊大に呼び寄せる。
この屋敷に戻ってこれたことも、寝室に呼んでくれたことも、恋心を抱く私にはもちろん喜ばしいことである。
それなのに胸を高鳴らせることができずにいるのは、疑問が解決していないせいだ。