公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~

「クレアさん、料理は我々の仕事です。あなたに作らせたと知られたら、我々がジェイル様やオズワルドさんに叱られるんですよ」

「それなら、私が作ったことは内緒にしましょう。今回のことはどうか許して。二度としないわ。なにもさせてもらえないことが苦しかったの。決してあなた方を困らせたかったわけじゃないのよ」


殊勝な態度で謝り、頭を下げた。

非のない彼らを困らせたかったわけじゃないという気持ちは本心だが、困らせても構わないから目的を遂げたいと思ったこともまた、正直な気持ちである。


深々と下げた頭をなかなか上げない私に、調理人たちは慌て始めた。

一番の年長者が私の肩に手をかけて上体を起こそうと試み、「分かりました。クレアさんが作ったことは内緒にして、それで終わらせることにしますから……」と、許してもらえた。


やっと頭を上げた私は、一人ひとりと視線を合わせて、「ありがとう」と作り笑顔を浮かべてみせる。

すると五人の男たちの頬は、揃って赤く染まった。

その反応を確認して、心で分析し始める。


王都であっても私の見た目は、男に好かれるもののようね。

やっぱりジェイル様は美しい自分に見慣れているから、私の容姿に興味を示さないのかしら……。


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