公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
「目的をまだ白状させていなかったな。ゴラスで俺の馬車を止め、連れていけと言った理由を聞かせてもらおうか」
「今はまだ言いたくないと言ったら?」
「地下室に閉じ込められたくなければ吐け。
あのとき、自分だけが貧困から抜け出そうという目的ではないといったよな? 家の再興も違うと言った。色恋の理由でもないのなら、一体お前はーー」
彼の話を遮るように、私は顎にかかる指を外した。
眉間に皺を寄せる彼の首に両腕を回しかけ、背伸びをしてその頬に口づける。
唇を離しても腕は解かず、息のかかる距離で精一杯、妖艶に微笑んで見せた。
「ジェイル様についてきたのは、色恋の理由よ」
「俺に惚れたようには見えないぞ」
「ええ。私があなたに惚れる必要はないの。あなたを私の虜にさせたいのよ。
ねぇ、この体……欲しくない?」
大丈夫。鼓動は速まるけれど、まだ平常心の範疇で、台本通りの演技を続けていられるわ……。