公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
それでも、鼓動が爆音を響かせているのは、どういう理由なのか……。
意志の力が僅かに及ばぬこの心を悟られまいとして、無表情を貫いていた。
恥部を隠すこともせず、両腕は横に下ろしたままで、肌を滑るように移動する彼の視線に耐える。
恥ずかしいと思っては、負けよ……。
そう言い聞かせても、どこまでも速まる鼓動と、不安定に揺れだす心。
それらに必死に抗う私の努力は……無下にされることとなる。
欲情するどころか、「その程度の体で、俺が惑わされるとでも思ったのか?」と、彼は言い放ったのだ。
ショックを受けて顔を強張らせたのは、裸体を貶されたからではなく、武器としての利用価値を失ったせいだ。
裸を見せても、彼の心を動かすことができないなんて、これから私はどうやって戦えばいいの……と、途方に暮れる思いでいる。
思わず目を逸らして俯くと、彼が長椅子に身を起こした気配がした。
長い腕が床の上のドレスを拾い上げ、ポンと投げるように私に渡す。