公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~

「着ろ」

「はい……」


下着を拾い、脱いだのと逆の順序で衣服を身につけ、元通りの姿になると、彼に言われた。


「痩せすぎだ。もっと食べて太れ」

「……醜いのは、痩せているせいなの?」

「誰が醜いと言った。お前の体はバランスが取れていて、肌は白く美しい。だが、肉の厚みが足りん。触りごたえがなさそうだ。
食事量を半分にしていると聞いたぞ。なぜ減らす?」


膝の上にのせた手の指を組み合わせ、眉間に皺を寄せて彼は静かな声で問う。


「それは……私には多すぎるから。残すのは嫌なの。粗末にしたくないから、半分の量で出してくれるように頼んだのよ」


答えながらも、目を瞬かせて考えていた。

ジェイル様の言い方だと、もう少し太れば、私の体は彼好みになるということなのか。

武器としての価値が生まれるのなら、太りたいと思うけれど……食べることは得意じゃない。


これまで貧しさが日常であったためか、食べることに罪悪感が伴う。

私が多くを食べれば他の人の取り分が減ると心配してしまうのだ。

無論、ここでは無用の心配と頭で理解していても、染みついた罪悪感を拭うのは難しい。

この屋敷での食事は特に贅沢だから、美味しいと感じるたびに心が痛み、食べることは苦痛だった。


たくさんの料理を前にする自分を想像し、顔をしかめていたら、ジェイル様がフッと柔らかく笑うのを見た。


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