公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
犬に例えられたことに、ムッとした。
そんなに、なんでもかんでも嗅ぎ回っているわけじゃないわよ。
いい香りだと感じたときに、つい多めに息を吸ってしまうくらいで。
ゴラスでは、石鹸と太陽の香りがする干したてのシーツの匂いを、毎日のように嗅いでいたけれど……。
その後の朝食の席では、なにも嗅がないように気をつけていた。
丸いパンがふたつと、蒸し野菜をチーズソースで和えたものと、ポーチドエッグとハムが二枚。
オニオンスープと新鮮なミルクと、バターにジャムに、デザートに桃のコンポートまで……。
私にとっては多すぎる量の食事を、ジェイル様に見張られながらなんとか胃袋に納め、食堂を出た。
彼も私の後について出てきて、頭に手をのせ、ワシワシと撫でてくる。
その親しみを込めたような仕草も、嬉しものではない。
子供のように扱われては困る。
女として見てくれないと……。
「俺は仕事に出かけるが、しっかり勉強してろよ」
「言われなくてもやるわよ」