公爵様の最愛なる悪役花嫁~旦那様の溺愛から逃げられません~
つっけんどんに言い返しても、頭から彼の手を払い落としても、なんのダメージも与えられなかったみたい。
払われた手で前髪を掻き上げる彼は、フッと魅力的に笑って言葉を付け足した。
「今日の仕事は早めに切り上げる予定だ。十四時頃には帰るから、出かける支度をしておけ」
「私も出かけるの? どこへ?」
「都を案内してやる。ひと月半も屋敷に閉じ込めていたからな。息抜きにもなるだろう」
ここに来てから、ひと月半も経ったのかと、過ぎた月日を振り返っていた。
確かに屋敷の外にはほとんど出ていないけど、閉じ込められていた意識はない。
勉強と食べること。そのふたつに今は全力を注いでいるので、街の中を見て歩きたいという気持ちが湧かなかったのだ。
それでも、せっかく彼が王都を案内してくれるというのなら、喜んで従おうと思う。
彼と過ごす時間を、少しでも増やしたいという思惑があるからだ。